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「」に対する検索結果が4件見つかりました

  • #4 馬は責めない

    こんにちは、高田崚史です。  はっきり言います。前回、前々回がこの連載のクライマックスなのではなかろうか…。その通りです!  まあ、気を取り直して書いていきます。  馬との関係性で失敗したことはありますか?という質問を自分に投げかけてみようと思います。良いことばかり書いていると、自慢しているみたいですしね。  もちろん、あります。ありまくりです。  でも  失敗のまま、終わらなければ、失敗じゃないのさ。  と思っています。僕は世紀の大失敗をして馬を殺しかけたことがあります。乗っている馬がどうしても言うことを聞かなくて、柵に向かって思いっきりお腹を蹴ったら柵を跳び越えてしまい…その柵の向こう側は坂道で10mくらい雑木林!馬と一緒に転げ落ちた僕は下の川に馬と落ちてしまいました。  当然馬は大怪我。その時に学びました。感情に身を任せて馬を扱ってはいけない。  その後、1週間以上泊まり込んで馬の面倒を見て、その馬は3〜4カ月ほど休養を経て普通に競技会に出られるようになりました。  そういう失敗をすると、今度から失敗をしなくなるわけではありません。でも小さな失敗ですぐに自覚できるようになります。もう一つ、申し訳ない気持ちは感謝になります。馬の前だと。人は、責めてくるけど、馬は責めてこないし。  人の失敗を見て被害を被って大きな怪我をしたとしても、心から責めない自分になれたら、きっと周りから感謝される人になれますよね。馬から学んでもなかなか難しい。  その馬の死に目にも僕は逢えませんでした。そいつの名前はリンリンリン。名前は可愛いけど鉄の馬でした。元競走馬、ブライアンタイムズとシーズグレイスの産駒。中央33戦4勝。超絶強気で、なんでも跳ぶ、人も吹っ飛ばす。  だから雑木林にも転落する。その後痛そうだったけど顔は平気。たくさんのことを教えてくれた馬でした。自分を育ててくれた馬も大切だけど、自分と一緒に育ってくれた馬も格別なんですよね。  読んでいただきありがとうございました。次回をお楽しみに。

  • #3 馬とひとつ

    こんにちは、高田崚史です。  今日は前回書いたラストドロップについての思い出を書いていたときの思い、とか書けなかったことを書いていきたいと思います。ラストドロップ、トビーの美しい話を書いたけど、実は結構頑固なやつだったらしいぞ、ということを書いていきます。  トビーは前もお話ししたように、本当に結果にこだわる、戦う馬でした。やっぱり気が強い部分があったんでしょうね、そして1対1の関係性の馬でした。  僕は、馬にも色々な馬がいると思っています。社交的な馬、1対1を好む馬。トビーは間違いなく1対1を好む馬でした。あと、可愛い子が好きな馬でした(嘘みたいなホントの話)。僕が可愛い子とは楽しそうに話していたので、良い人だと思った説もありますけどね(笑) このように、馬の行動はいくらでも解釈できます。だけど、どうもそうとしか思えないよね、ということもあるので面白いです。  周りの人にトビーのことを聞くと、王様だった、と聞きます。ご飯は一番にもらえないと嫌、部屋からは出たくない、人を乗せるのも嫌(特に嫌だった人もいたみたい)。それでいて、僕の前では前掻き(ご飯を食べたくておねだりすること)も一切しなかったのでどれだけ二面性があるんだよ、という話ですよね。  僕はトビーの死に目には会えませんでした。2020年はコロナまっさかり、僕はヨーロッパで活動していました。日に日に脚の状態が悪くなって、立ちあがることが難しくなったと聞いていましたが何度も持ち直したそうです。壁に倒れてしまって傷だらけになっても立ち上がっていたと言います。ちょうど僕がチェコで試合に出ている日に、彼は亡くなりました。  最後に彼が僕を見ることができなかったのは、今となっては残念で仕方ありません。夢のために戦い帰れなかった僕は、2年くらい経ってやっと涙を流すことができました。  誰もが、彼は僕と出会えて幸せだったと声をかけてくれました。そのくらい、愛された馬でした(皆にとってはわがままな王様でしかなかったのに)。そのくらい、関係性が美しく見えたのだと思います。僕は、彼と出会えて幸せで、彼は僕と出会えて幸せでした。そこに、僕の原点の馬と人は心が一つ、と思う所があります。  I in You, You in I.  この言葉と共にトビーの瞳を想います。  皆さんにもそんな出会いがあるように…僕は活動していきたいです。  読んでいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。

  • #2 思い出の馬、ラストドロップ

    こんにちは、高田崚史(りょうじ)です。  早速ですが、今日は僕の最愛の馬、ラストドロップについてお話しします。きっと第2回くらいで書いておかないと怒られそうなので早めに取り上げておきます。  彼はオーストラリア生まれ、2007年に僕と出会い、2020年に亡くなりました。愛称はトビー。目が泣き顔なのが特徴でした。クライスデールという馬車馬の血が入っていて脚が短く胴が少し長いのが特徴でした。  彼は本当にスーパースターの馬で、とにかく障害に脚を当てない。結果、というのを知っている馬でした。障害に脚を当てたらいけないんだ、ということをいつも超絶忠実に守る馬でした。そんな彼のお陰で2010年、僕は全日本ジュニア選手権に勝ちました。同じ年にヤングオリンピックの日本予選も勝ってその年世代で1番の人馬だったと言えます。  馬にプライド、という言葉があると感じたのは、この馬のお陰です。さっきも話したように本当に結果を知っている馬、そしてそこに誇りを持っている馬でした。大切な試合というものを人と同じように感じ、同じように気合を入れる、そんな馬でした。  本当に人懐っこい馬(これは僕に見えてただけだったらしいと後に知りますが)で、穏やかで暴れない馬でした。トラクターが怖くて逃げる、という所以外は勇敢な馬でした。  ただ、脚が悪くて、若い時からよくつまづいていたのですが、歳を取るにつれてそれが顕著になりました。どんどん歩幅が短くなり、歩幅が短くなると当然勢いをつけられないので跳ぶのが苦しくなっていきました。  今でも僕は覚えている試合があります。全日本選手権の予選、場所は世田谷の馬事公苑。僕は1日目は上位、しかし2日目は明らかに馬の調子がおかしかった。それでも少しでも前に進もうとするトビーを勇気づけながら、なんとかゴールを切りました。苦しさが乗っていてここまで伝わってきたのは初めてで、これだけ無理させたのが申し訳なくて涙が溢れました。競技場を出たらすぐに降りて一緒に歩いて帰りました。  競技に出たことある人なら分かる、馬事公苑の厩舎へのトンネル。歩くのは辛そうだったけどトビーは誇らしそうだった。負けなかったぞ、という思いを感じてまっすぐ前を見て歩いていました。  厩舎について、予選は通過していたけど最終日は棄権すると決めました。僕の人生の決断で最も迷いのない瞬間でした。勝つことの喜びも、諦めることの清々しさも教えてくれたのがトビーでした。  どの馬もそうですが、彼のお陰で僕は今ここで皆さんに伝える立場にいます。そしていつか、僕も誰かにとってのトビーになれるようになりたいと思っています。  読んでいただきありがとうございます。次回をお楽しみに。

  • #1 馬との時間を大切に…

    こんにちは、一般社団法人Horse Valueの高田崚史(りょうじ)です。  まずもって、ウマットに入会していただきありがとうございます。 これから馬と仲良くなる道を一緒に追求していきましょう。  この「馬と人」という連載では、僕の馬との過去を振り返りや、僕の現在、最近の気づきを多く入れていきます。テキスト・動画・毎月の勉強会では、馬と仲良くなる秘訣を話していくので、そことは少し一線を画した連載にしていきます。  かなり徒然なるままに、という感じになりますがゆるりと読んでください。  第1回は何を書こうか、というところで、最近あったことを書きます。僕の卒業した馬術部である一橋大学馬術部が消滅してしまう、という大事件についてです。  そもそも一橋大学馬術部は、自分達の大学に馬場があったわけではなく乗馬クラブを間借りしていました。そんな中、部員数がどんどん減少傾向を辿り…3人となり、2人となり、続行不可能となったようです。  すごく悲しいことですし、少人数でも続けたら良いのに。と思うのですが、確かに作業が辛かったり先が見えなかったりするのでしょう。すべてを捨てて馬に、という時代でもない中で両立が大変なのでしょう。  説得する中で、僕の見えている馬の魅力、そのかけがえのなさと、学生たちが見えているものは違うのだと気づきます。僕自身が今仕事に追われて、直接馬に触れることがないからこそ余計思うのかもしれません。  ここから言えることは、馬と関わることができている人は幸せだということです。この時間を大切にしてほしいし、その大切さを知っている人を増やしていきたいと本当に思います。ウマットはそういう人が集まる場所にしていきたいですね。  同時に、そんな幸せを噛みしめることができれば馬は愛情を示してくれます。これは僕が最も馬について考える時に基礎としているミラー効果によって、自明のことです。  一緒にいられることの幸せを感じる、そんなことを人間同士で言ったら照れくさいですが馬と人、という関係性だからこそ、迷いなく言えるのかもしれません。そうなっていく方法や考え方をウマットという場所でお伝えし、皆さんの実践から学んでいきたいと思います。  読んでいただきありがとうございました。次回をお楽しみに。

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